2018年10月28日日曜日

自炊による食費削減効果は、まだ道半ば?

 ひと月の支出のムダを省こうと思った場合に、誰でも、まず着目するのが食費でしょう。ひと月の支出割合を見た場合、家賃(住宅ローン)に続いて多いのが、食費(調理食品、外食、素材となる食料の購入の合計)だからです。
 ややデータは古くなりますが、総務省が実施している「全国消費実態調査」によれば、単身30歳未満世帯の食費は、1999~2014年の5年間で22.6%も減っています。特に男性が顕著で、24%も減っています。「調理食品の普及等による食の簡便化や、料理をしてみたいという意識が進み、自宅で食事をとるようになっていることの表れ」と総務省はみていますが、この間、外食が29.4%も減っていることを考えれば、食費削減効果の大半は、外食の抑制によるもので、自炊による削減効果はまだ、さほど出ていないというのが実態のようです。つまり、食費を削るために自炊を始めてはいるものの、肝心の調理力が伴っていないため、逆に冷蔵庫の中の食材ロスが増えたりして、トータルでは、あまり節約につながっていないのです。
「じゃ、早く、料理教室にでも通って、調理力をつければ、いいじゃない」とおっしゃるかもしれませんが、巷の料理教室では、本当の意味での調理力は、なかなかつきません。どういうことかと言うと、料理教室は、あくまでも、受講者が料理のレパートリーを広げて、料理を楽しむというのが、その主眼であって、調理力は自宅のキッチンで日々、磨くものというスタンスだからです。つまり、いい意味でも悪い意味でも、料理教室は、カルチャーセンターの乗りなのです。
 既存の教育機関で言えば、プロの料理人を育てるのが目的の、調理師専門学校の門を叩けば、一番、間違いないのですが、勤めを持っている社会人が通うというのは、現実的ではありません。また、単に、家の食事を、手際よく、ロスなく作れるようになるのに、そこまでの調理力は必要ないかと。
 第1回の冒頭で、「日本人の調理力が危機に瀕している」と言いましたが、そこで言っている調理力とは、何も、プロの料理人にも引けをとらないような調理力のことを言っているのではなく、ご飯がちゃんと研げて・炊ける、ダシも苦もなく取れる、味噌汁や浅漬け程度なら簡単に作れる、といった、極めてベーシックなスキルのことを指しているのです。ただし、忙しい現代人は、それだけでは、十分とは言えません。短時間に、食材ロスを出すことなく、それらのことを実現させることが、今、新たに求められているのです。(⇒次回に続く



2018年10月27日土曜日

稼いでも、そのおカネは気楽に使えない、今の若者たち

「稼ぐが勝ち」。これは、ある意味、今の日本社会の一面の真理ですが、こうした親御さんの思惑とは裏腹に、日本では今、若い人たちが、稼いでも、そのおカネは気楽に使えない状況が出現しています。日本の公的年金制度の持続可能性が不安視される一方、日本の経済的地位が急速に低下しているため(その責任の大半は、安倍政権の無策)、若い人たちが、日本の先行きに明るい展望を持てないでいるのです。
 日本の公的年金制度の持続可能性に関しては、「(支給額を)減額されることはあっても、制度がなくなることまでは・・・」といった楽観論もありますが、当の若い人たちは、その言をまったく信用していません。ある就職情報会社が、2年前に大学生を対象に実施したアンケート調査によれば、「将来、年金がもらえると思っていない」と考えている人は、なんと、約7割も占めました。「年金がもらえると思っていない」以上、いくら稼いでも、そのおカネを気楽に使う気分にはなれませんよね。
 自分たちの責任を問われかねないので、日本政府はひた隠しにしていますが、日本の今の一人当たりの国民所得(GDP)は、世界で何位だと思いますか? 10位? ブー。じゃ、15位? それもブーです。信じられないかもしれませんが、2016年現在で、日本の一人当たりGDPは、世界22位です! 2010年は、まだ、18位に踏みとどまっていたのですが、安倍政権6年の間にドイツやイギリスにも抜かれてしまいました(そんな国が何で先進7か国に入っているのか不思議ですよね)。
 2000年までは、日本は1人当たりGDPが米国を上回る水準で、小国を除くと、実質的には世界第1位だったことを思うと、隔世の観がありますよね。1人当たりGDPが、名目GDPによる表示であることから、低いインフレ率の日本が数字上、不利になるという指摘は認めます。しかし、そもそも、経済成長率が低いことに、この相対的地位低下の根本的な理由があるわけですから、若い人たちに、「日本の先行きに明るい展望を持て!」と言うほうが無理だと思いませんか?
「節約するが勝ち」。今の若い人たちの生活信条を一言で言い表せば、こんな表現になるでしょうか。残念ですが、安倍総理の言うことなんか、だれも、信用してない。口から出任せだと思っている。来るべき公的年金制度の破綻を見据えて(?)、稼いだおカネを、いかにして、減らさないようにするか。若者たちの関心は、その一点に移ってきていると言っても過言ではないでしょう。団塊の世代の人たちに比べると、随分、堅実…。確かに、そうですよね。でも、それが、今という時代なのです。(⇒次回に続く



2018年10月24日水曜日

日本人の調理力が危機に瀕している!

 某男性ファッション誌のキャッチコピー風に言えば、「必要なのは、おカネじゃなくて、調理力です!」。
 何に必要なのかって? 決まってるでしょ、この八方塞がりの日本国で、これから生き残るため、サバイバルするためです。人間、生きていくためには、衣・食・住が不可欠なことは、言を待たないと思いますが、中でも食は、基本中の基本。その食を食たらしめる、日本人の調理力が危機に瀕していること、皆さん、ご存知ですか?
 味噌汁が作れない、浅漬けが作れないというのなら、まだしも、ご飯が研げない・炊けない、ダシが取れない、包丁で野菜が切れない、リンゴやナシの皮が剝けない・・・。どうします、こんなんで。
 いえ、家事万端、奥さんにお任せの現役社畜の皆さん(失礼!)や、既にリタイアして、奥さんに粗大ゴミ扱いされている、かつての社畜の人たちのことを言ってるのではありません。まだ、これから、60年も70年も生きなければならない若い人たちがそうなので、心配しているのです。特に、男性。嘘だと思うなら、お嬢さんや息子さんが、休みの日、家でゴロゴロしているタイミングを見計らって、やらせてみるといいと思います。かつての社畜もびっくり(?)の状態だと思いますよ。包丁を使うときなんか、危なっかしくて、とても見てられませんから。きっと、「自分の若い時のほうがマシ」と思えてくるでしょう(トホホホ・・・)。
 いったい、なんで、こんな悲惨な状況になったんでしょうか? そう、それは、小学校に上がってから高校を卒業するまでの約12年間、調理をする機会が、極端に減ってしまったからです。学校では、家庭科の授業時間数が、この40年間で、小学校が18%、中学校が64%、高校が50%もそれぞれ削られ、家でも、「受験に差し障りがあるといけない」というんで、男女関係なく、子供には、できるだけ調理をさせないようになってきている。「調理なんかしてる時間があったら、勉強しなさい! 調理なんかできなくったって、いい大学、いい会社に入って、ガンガンおカネを稼げば、ちゃんと生きていけるんだから」。大抵の親は、こう考えているんじゃないでしょうか? 
 これは、何も、調理に限ったことではありませんが、場数が物をいう、こうした家事の類は、訓練する機会が減れば、力はけっして養われません。特に、10代は好奇心旺盛で、スキルを吸収するのに、うってつけの時期。その時期に訓練できないんですから、あまりに、もったいない。(⇒次回に続く