「味付け冷凍」とは、買ってきた肉や魚介などを調味料で味付けし、そのままポリ袋に入れて冷凍保存して、レシピに活用する方法です。「味付け冷凍」することで、食材に必要な味が付き、解凍後の調理の手間が大幅に削減できます。また、食材を長期にわたって保存することが可能なので(約1ヵ月間)、食材の賞味期限切れ等による廃棄ロスも大幅に減らすことができます。
調理のプロセスは、至って簡単です。
①付けたい味に応じて、調味料を揃える。
②その調味料をポリ袋(ジッパー付きがベスト)に入れて、揉み混ぜる。
③買ってきた食材(必要に応じて、切り分ける)をそこへ入れて、調味料と揉み混ぜる。
④ポリ袋を平らにならし、空気を抜いてポリ袋の口を閉じ、冷凍する。
ここまでのプロセスについては、ジッパー付きポリ袋のメーカーである旭化成ホームプロダクツ(商品名『ジップロック』)のWebサイトで、料理研究家・武蔵裕子先生のレシピ付きで詳しく解説していますので、参考にして下さい(URLは下記)。
ここまで、慣れれば10分。食材の切り分け時間を加味しても、15分もあれば完成です。
食材の味付けは、冷蔵庫がしてくれますから、あとは、調理の都度、必要な分量を冷凍室から取り出して、調理するだけです。何種類かの食材を週末にまとめ買いして、それぞれ「味付け冷凍」しておけば、調理の効率は、コスト的にも時間的にも、さらに高まること請け合いです!
解凍の手間も時間も入らない
解凍の手間も時間も入らない
「味付け冷凍」の凄いところは、じつは、解凍の手間も時間も入らないという点です。凍ったまま割ったり、千切ったりして、そのまま調理できるのです。これって、凄いことだと思いませんか? 凍っている食材を解凍したことがある人なら、お分かりと思いますが、冷凍材料を解凍するのって、大変な時間がかかりますよね。電子レンジでチンが一番、早いけど(わずか数分)、食材がべちゃべちゃになってしまい、残念な解凍状況。味的には、室温での自然解凍がベターでしょうけど、それだと1時間もかかってします。冷蔵庫に移しての解凍に至っては、9時間!(どちらも、出掛ける前にやっておくのが一般的ですが、忘れてしまったら、アウト)。まあ、流水解凍というのが、現実には一番、多いと思いますが、それでも20分。絶えず、水道の水を流さなければならないという難点もあるし。
でも、「味付け冷凍」なら、そんな時間は必要ありません。冷凍室から取り出して、割って(千切って)、いきなり、鍋やフライパンに放り込んで調理することができます(まな板と包丁も使わないので、後片付けの手間が、それだけ軽減されます)。しかも、味付け入らずですから、こんなに楽なことはありませんね。「野菜の切り刻み冷凍」と併用すれば、調理時間は、さらに削減できます。
買ってきた食材をそのまま調理するよりも美味しくなる
買ってきた食材をそのまま調理するよりも美味しくなる
「味付け冷凍」の凄い点は、まだ、あります。それは、買ってきた食材をそのまま調理するよりも、いったん、「味付け冷凍」して調理したほうが、出来上がった料理が美味しくなるという点です。にわかに信じられない話でしょう。でも、これって、科学的にちゃんと根拠のある話なんです。ポイントは、食材の細胞膜にあります。食材を冷凍することで、この細胞膜が壊され、混ぜ込んだ調味料が浸み込みやすくなる上に、食材の余分な水分が抜け、食材の旨味が増すのです。さらに、肉の場合は、調味料の浸透によって、肉質が柔らかくなるという副次効果もあります。
どうですか、いい事づくめでしょう。早速、「味付け冷凍」、試してみたくなったことと思いますが、慌てない、慌てない。スーパーに走る前に、もう一つ、肝心なことを確認しておきましょう。そう、それは、「いったい、どんな味付けができるの?」という点です。
まあ、基本的には、どんな味付けでも問題はありませんが、やはり、食材との相性ということもありますから、味付けと食材の組み合わせは、とても大切です。それを見つけ出すためには、試行錯誤も必要ですが、「そんな面倒なこと、してられない!」という人のために、「味付け冷凍」の第一人者である藤井恵先生と森洋子先生、そして、今泉久美先生の提案するベスト・コンビネーションを、下記に、味付け(縦軸)と食材(横軸)のマトリクスの形でまとめてみました。
マトリクス作成の元になった、お三方の著作には、「味付け冷凍」を活用した、たくさんのレシピも載っていますから、一冊買い求めて、キッチンに常備しておくと、便利でしょう。
◆豚編
(藤井 恵著『味つけ冷凍の作りおき』(文化出版局)を元に作成。
(森 洋子著『味つけ冷凍レシピ』(エイ出版社)を元に作成)
(今泉久美著『下味冷凍の万能レシピ』(日東書院本社)を元に作成)
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※画像をクリックすると、出版社のページに飛びます。 |
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※画像をクリックすると、出版社のページに飛びます。 |
◆鶏編
鶏
むね肉
|
鶏
もも肉
|
鶏
手羽先
| |
コンソメ味
|
〇
|
△
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△
|
タンドリー味
|
△
|
〇
|
△
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照り焼き味
|
△
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△
|
〇
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しょうが焼き味
| |||
ポーク
ケチャップ味
|
△
|
△
| |
味噌ヨーグルト味
|
△
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△
|
△
|
酒塩味
|
△
|
△
|
△
|
麻婆味
| |||
ハンバーグ味
| |||
焼き肉味
| |||
コチュジャン味
|
△
|
△
|
△
|
赤ワイン味
| |||
白ワイン・ハーブ味
|
△
|
△
|
△
|
粕みそ味
|
△
|
△
| |
エスニック味
|
△
|
△
|
△
|
◆豚編
豚
薄切り肉
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豚
とんかつ肉
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豚ひき肉
| |
コンソメ味
|
△
|
△
|
△
|
タンドリー味
|
△
|
△
|
△
|
照り焼き味
|
△
|
△
|
△
|
しょうが焼き味
|
〇
|
△
|
△
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ポーク
ケチャップ味
|
〇
|
△
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味噌ヨーグルト味
|
△
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〇
| |
酒塩味
|
△
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△
|
〇
|
麻婆味
|
〇
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ハンバーグ味
|
△
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焼き肉味
|
△
|
△
| |
コチュジャン味
|
△
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△
|
△
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赤ワイン味
|
△
|
△
|
△
|
白ワイン・ハーブ味
| |||
粕みそ味
|
△
|
△
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エスニック味
|
△
|
△
|
◆その他
合いびき肉
|
牛
切り落とし肉
|
切り身魚
| |
コンソメ味
|
△
|
△
|
△
|
タンドリー味
|
△
|
△
|
△
|
照り焼き味
|
△
| ||
しょうが焼き味
|
△
| ||
ポーク
ケチャップ味
| |||
味噌ヨーグルト味
| |||
酒塩味
|
△
|
△
|
△
|
麻婆味
|
△
|
△
| |
ハンバーグ味
|
〇
|
△
| |
焼き肉味
|
〇
| ||
コチュジャン味
|
△
|
〇
|
△
|
赤ワイン味
|
△
|
〇
| |
白ワイン・ハーブ味
|
〇
| ||
粕みそ味
|
〇
| ||
エスニック味
|
△
|
〇
|
(藤井 恵著『味つけ冷凍の作りおき』(文化出版局)を元に作成。
△印は、相性がよいものの、レシピの掲載なし)
◆肉編
鶏
もも肉
|
鶏
むね肉
|
豚
こま切れ肉
|
豚
薄切り肉
|
豚
ひき肉
|
豚
バラ肉
| |
塩こうじ味
|
〇
|
〇
| ||||
ショウガしょうゆ味
|
〇
| |||||
炒め玉ネギ
塩、コショウ味
|
〇
| |||||
塩、コショウ味
|
〇
| |||||
ヨーグルト
カレー味
|
〇
| |||||
トマトケチャップ
しょうゆ味
|
〇
| |||||
粒マスタード
しょうゆ味
|
〇
| |||||
ネギみそ味
|
〇
|
◆魚編
サケ
|
イカ
|
イワシ
|
サバ
|
カジキ
マグロ
|
アジ
|
生タラ
|
タコ
| |
塩こうじ味
|
〇
|
〇
| ||||||
ショウガしょうゆ味
|
〇
| |||||||
オリーブオイル
ニンニク
塩、コショウ味
|
〇
|
〇
| ||||||
ヨーグルト
カレー味
|
〇
| |||||||
塩レモン味
|
〇
| |||||||
白ワイン
ハーブ味
|
〇
|
〇
|
(森 洋子著『味つけ冷凍レシピ』(エイ出版社)を元に作成)
◆肉編
豚固まり肉
|
豚薄切り肉
|
豚ロース肉
|
鶏
もも肉
|
鶏
手羽元
|
牛ステーキ肉
|
スペアリブ
| |
塩
ベース
|
〇
|
〇
|
〇
|
〇
|
〇
| ||
しょうゆ
ベース
|
〇
| ||||||
味噌
ベース
|
〇
|
〇
|
〇
|
◆魚編
生サケ
|
サワラ
|
イカ
|
マグロ
|
メカジキ
|
ホタテ
| |
塩
ベース
|
〇
|
〇
| ||||
しょうゆ
ベース
|
〇
|
〇
|
〇
| |||
味噌
ベース
|
〇
|
〇
|
(今泉久美著『下味冷凍の万能レシピ』(日東書院本社)を元に作成)
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