冷蔵&冷凍ストックの「罠」

 食材の冷蔵&冷凍ストックには、①ストックしている間に必要な味が付き、②食材を長期にわたって保存することが可能になる、という大きなメリットがありますが、ストックして、それで安心してしまい、油断すると、あとでストックを取り出して調理に供するのに手間取ったり、食材の廃棄ロスをかえって増やしたり、といった事態を招きかねません。これを、「冷蔵&冷凍ストックの『罠』」と言います。
 買ってきた食材を冷蔵・冷凍したことがある人なら、だれでも、こんな経験を一度はしていることでしょう。

・冷凍しておいた牛肉を使おうと思って、取り出したら、賞味期限が既に切れていた。
・冷蔵しておいた豚肉を使おうと思って、取り出したら、いったい、何グラム、冷蔵しておいたのか思い出せず、止む終えず、もう、一度、量り直した。
・冷蔵しておいた鶏肉の半分だけ使おうと思って、取り出したら、コチコチに凍っているので、半分に分けるのに悪戦苦闘した。

 本末転倒な話ですよね。もし、こんなことを繰り返していたら、せっかく、調理の時短とフード・ロスを減らそうと思って始めた、食材の冷蔵&冷凍ストックも台無しです。かえって、調理の手間が増えるし、フード・ロスもかさみ、エコではありません。

記憶に頼らず、メモを貼り付けておく

 こうした事態を招かないためには、冷蔵&冷凍ストックした食材をしっかり、マネジメントする、という意識が大切になってきます。いや、マネジメントと言っても、別に、特別なことをするわけではありません。要は、①ストックした日の日付け②量は、何グラムなのか③どういう味付けなのか④賞味期限は、いつなのか、ということが、いつでも一目で分かるような状態にし、さらに、ストックする量が多い場合には、調理一回に使う分量に小分けしてストックしておくということです。以下、順に詳しく、見ていきましょう。
 まず、ストック日付、量、味付け、賞味期限のマネジメントですが、これは、記憶に頼らず、ジッパー付き保存袋やコンテナに、それらのメモを貼り付けておくことで対応できます。記入欄がある保存袋の場合は、そこに直接、これらの事項をしっかり書き込んでおく。ストックする際に、面倒くさがらずに、このひと手間さえかけておけば、あとで、「あれ、これ何グラムだっけ?」とか「あちゃー、賞味期限が切れてる~」などという事態は、かなりの程度、避けられます。なお、ペンで書き入れる際は、濡れても文字が消えないよう、油性ペンを使って下さい、念のため。

調理一回に使う食材の分量を考えて、小分けしておく

 そして、ストックの小分け管理。これ、調理の手間を増やさないという観点からは、かなり重要です。慣れないうちは、「いったい、何分割しておけばいいの?」という疑問が出てくるかもしれませんが、ストックの経験を積めば、苦もなくできるようになります。なぜなら、調理一回に使う食材の分量は、食べる人の人数によって、自ずと決まってくるからです。一人暮らしなのに二人分作るという人は、おそらく、いないでしょう(カレーやシチュー、あるいはスープなら別でしょうが)。料理のバリエーションが多い人なら、とりあえず、50グラム単位など、切れのいい単位に小分けしておいて、その日のメニューに応じて、一区画とか二区画とか使うようにすればいいでしょう。
 なお、冷凍ストックの小分け管理は、バラバラにして、金属トレイなどで、いったん、凍らせてから保存袋に入れて冷凍という、2段階冷凍する食材(豚薄切り肉や骨付き肉、ソーセージ、ホタテなど)もあるので、具体的な、食材ごとの小分け方法を知りたい方は、料理研究家の岩崎啓子先生の『冷凍保存で使い切りレシピ』(世界文化社)が詳しいので、そちらを参考にして下さい。



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定期的に棚卸しを実施し、「先入先出」を徹底

 以上で、「ある日、冷蔵庫の奥を調べてみたら、ミイラ化した食材が…」という事態は、回避できると思いますが、「必ずしも毎日、料理を作るわけではない」という人は、週に一回程度は、ぜひ、冷蔵庫の中の棚卸しを実施して下さい。そして、できるだけ、先入先出、つまり、日付の古い冷蔵&冷蔵ストックから順に、調理に供していくことを徹底しましょう。料理のレパートリーは、この観点からも増やしていく必要があるわけです。(※ここで言っている「先入先出」は、棚卸資産評価および出庫単価算定方法のつである「先入先出」とは、ちょっと、ニュアンスが異なります。簿記で言うところの「先出先出」は、「先に入庫したものから順に出庫されるものとして計算する方法」のことであり、あくまでも、「仮定」です、念のため)。




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